- 企業支援型プロジェクト
- 教育応援企業の想い
エンジニアの想いで育てる次世代の芽/川崎重工業株式会社
2019.12.07「世界の人々の豊かな生活と地球環境の未来に貢献する” Global Kawasaki”」というグループミッションを掲げ、陸・海・空の移動・輸送の提供、クリーンエネルギーの創出、社会インフラの整備、高齢化・労働力不足のための自動化技術などを通じて社会に貢献する川崎重工グループ。同社のCSR活動では、120年にわたり生み出されてきた、これらの「わざ」の素晴らしさ、大切さを次世代に伝承している。
川崎重工業株式会社 総務本部 CSR部
未来にわざを伝える場づくり
同社では2006年5月、「見て」「触れて」楽しく学びかつ遊びながら 「技術のすばらしさ」と「ものづくりの大切さ」を実感してもらうことを目指して、神戸市に企業ミュージアム「カワサキワールド」をオープンしている。さらに2012年からは、総合重工業としての多様な製品群を背景に、毎年ひとつのカンパニーの技術を取り上げた実験工作プログラムを開発。教育イベントなどでの実施に加え、東北地区の復興支援の一環として、宮城県南三陸町にて小学校への出前教室を実施している。最初に開発した実験工作プログラム「マイヘリコプターをつくろう」は、小学生向けのプログラムとして既に定着し、 全国の拠点での地域貢献活動や様々なイベントで広く実施されている。2019年度は6月8日にカワサキワールド、11月11・12日に南三陸町で計8回の実験工作教室を実施し、188人の子どもたちに油圧機器の原理の理解とものづくりの魅力を伝えた。
若手エンジニアのこだわりを込めたプログラム開発
毎年、実験工作プログラムの開発にあたるのは、各カンパニーの若手エンジニアたち。今年は、クレーンやショベルカーの動力源となる油圧機器を製造する「精密機械・ロボットカンパニー」が担当した。 「マイクレーンをつくろう」というプログラムは、2013年に一度開発したものであり、同社の活動で同じタイトルの企画を再開発・実施することは初の試みとなる。当初は既に教材もプログラムもあるこ とから、開発もスムーズに進むのではないかと予想していた。しかし、そこはエンジニア集団。 実際に過去の教材を手にすると、改善点が多くあがってくる。結果、再開発した2世代目のクレーンキットは、「重いものを持ち上げる」というクレーンの基本的な動きに加え、「工夫次第で上下・回転運動を生み出す」ことができるように改良された。90分間の授業では、各班にカンパニーエンジニア1名と本社・支社等のスタッフ数名がつき、エンジニアやスタッフと子供たちとの直接対話で実験と工作が進められていく。11月の南三陸町では、町内5校の小学校において、2日間で6回の出前教室を実施した。実施後のアンケートには、「自分でももっと強いアームの仕組みを考えてみたい」「将来ものづくりをしてみたい」という声が多く集まり、エンジニアの想いが確実に次世代へ届いていることが実感できた。
取り組みの継続が社内外に生み出す効果
「プログラム開発から始まり、初夏のイベントを経て、集大成としての南三陸町での実施という流れが1年間のプロセスとして定着してきている」と話すのは同社CSR部長の大森さん。2012年に初 めて南三陸町で実施した当時は、まだ震災の影響が色濃く残り、インフラ整備以前の段階だった。それが7年経過し、高台の整備や川や海の堤防も完成しつつある。「重機の提供だけでなく、重機を 使って街を作る人づくりにも貢献したい」と始まった南三陸町での教室は、8年目にして初めて町内にある5校すべての小学校での実 施となった。徐々に実施校が増え、町内すべての小学6年生に同社のエンジニアリングが伝わったといえる。エンジニアリングの魅 力を知った子どもたちが、これからどんな街を作っていくのか、楽しみが広がっている。