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好奇心が見つけ出す、エレクトロニクスの可能性
2020.12.02私の研究者ストーリー 〜研究の始まり、創る未来〜
最前線で活躍している研究者は,どんなきっかけで研究を始めたのか?今どんな研究をしているのか?立命館大学理工学部で活躍する熊木さんに,現在の研究内容と,そこに至るまでのストーリーについて話を聞きました。
同じ製品を作っていても生まれてしまう製品のばらつきや,写真撮影で邪魔になる照明のちらつき。普段は厄介者とされるこれらを活用して,コンピューターの電子部品や照明装置開発に応用しているのが,熊木さんです。
立命館大学理工学部 電子情報工学科
准教授 熊木 武志 さん
進路を決める「好奇心」という道標
小さい頃から,生き物やものづくりが好きで,母親が購入している科学雑誌を読むなど,もともと科学が好きだったという熊木さん。しかし,高校生の頃は数学が苦手で,数学担当だった担任の先生を毎日のように訪れて質問をしていたといいます。次第に数学への興味が芽生え,科学雑誌を眺めながら感じていた科学技術の進歩への関心,そして「人と違うことがしたい」という好奇心から,防衛大学校の数理物理学科に入学。大学卒業後は航空自衛隊に入隊しました。研究からは一時離れましたが,自衛隊の装備品に触れるうちに,装置を使う側ではなく開発する側へ好奇心が生まれ,思い切って大学院に進学。コンピューターの頭脳である高密度集積回路(LSI)の研究や,それを応用したアプリケーションの研究開発にたどりつきました。
ばらつきやノイズが未来を創り出す!?
熊木さんの研究の特徴は,欠点として扱われる製品のばらつきや発光のノイズなどの現象を,逆に活かしていることです。例えば,同じLSIのチップでも工場で作る際,その品質に微妙なばらつきが生まれます。このばらつきを,インプットした情報に対して返す回答の違いとして「個性」に変えることで,例えば同じタイプでも個性を持った,次世代のコミュニケーションロボットの開発に繋がると熊木さんは考えています。
また,LEDの明かりをスマートフォンで撮影するとき,明暗の縞模様が写り込んでしまうフリッカーノイズという現象があります。普段は邪魔になるこのノイズを制御することで,均一に光っているように見える照明に,カメラをかざした時だけ見える文字や動画などを明暗で映すことができ,防災やエンターテイメントへの応用が考えられています。熊木さんの好奇心により,品質のばらつきや映像ノイズが,未来のロボット開発や私たちの暮らしを支える技術に生まれ変わるかもしれません。
熊木さんに直接会える!
サイエンスキャッスル2020関西大会の立命館大学セッションに,長谷川さん,熊木さんも参加します。直接会って,話したり質問しましょう!
2020年12月20日 15:40〜16:40
セッションタイトル:「研究者と未来の研究ライフを描こう!」