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音楽の道を夢見た少女が、研究者として小さな分子の動きを表現する
2019.12.16少しだけ先を歩くセンパイたちに,どんなことを考え,経験し,道を歩んできたのか質問してみましょう。あなたも一歩踏み出せば,自分が思い描く未来に手が届くかもしれません。
近畿大学大学院 生物理工学研究科
生体システム工学専攻 博士前期課程2 年生
松倉 里紗(まつくら りさ)さん
ピアノ,バイオリン,歌,ダンス,自分を表現することが好きだった松倉さん。芸術コースに所属していた高校生が選んだ進路は,なんと生物,情報,物理など,複数の理系科目の知識が必要な「生体分子シミュレーション」という研究の道でした。
Q:「 生体分子シミュレーション」の道に進んだきっかけを教えてください
高校2年生の時に訪れた近畿大学のオープンキャンパスで,コンピュータを使った「シミュレーション」に出会いました。人の好みや行動など,色んな予測ができることにわくわくしました。じつは音楽以外にも,生物が大好きで,生き物のしくみを予測する研究ができる!と入学を決めました。大学で出会った「生体分子シミュレーション」という分野は,体の中で働くたくさんの分子たちの動きを計算によって予測することができます。人の目には見えないくらい小さなタンパク質が動く世界を,自分の手で可視化したいと思い,今の研究室を選びました。宮下尚之准教授の「生物,情報,物理の全部が得意でなくても,研究室に来てください」という言葉にも背中を押されましたね。
Q: 研究をしていて一番テンションがあがるのはどんなときですか?
私の研究では,薬に含まれる小さな分子たちが病気の原因であるタンパク質に結合する様子を予測します。一番嬉しいのは,プログラムエラーを繰り返しながらも,最終的にシミュレーションによって,実際の体の中で起こる出来事を上手く再現できたときです。例えば薬が,間違ったタンパク質に結合すると,副作用で体に異変が起きます。シミュレーションを使えば,薬が間違ったタンパク質に結合する様子を再現して,どんな薬を作れば副作用がでないのかを提案することができるんです。
Q: やりたいことや進路をどのように決めていますか?
私は,高校までは音楽,大学に入ったら研究と,自分がその時やりたいと思ったことを心のままに実行してきました。逆にやりたくない,と思ったらやらない。そうやって決めたことは後悔しないと思うんです。足りない知識があったときも,やりたい,知りたい!という気持ちを大切にして,一つ一つ新しいことを学ぶのは楽しいです。この先も薬の研究に限らず,目に見えない小さな分子の,色んな世界をシミュレーションで表現してみたいです。
(聞き手・濱口 真慈) someone vol.49より