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パラシュート着陸を成功させよう!火星環境下での着陸方法の検討

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「将来は火星探査機を作ってみたい。人が住める可能性や地球外生命体の謎に迫るんだ」。かねてから宇宙探査機にあこがれていた藤野くんは,NESTプロジェクト*のドクターコースで火星探査機の開発に挑戦しています。これまで全世界で打ち上げられた火星探査機19機の内,着陸に成功したのはたった6機。その成功例の中に,日本の機体は含まれていません。探査機の着陸機構として,パラシュートとエンジンの逆噴射による減速,エアーバックボールでのバウンド着陸など様々な方法が現在検討されていますが,費用や大きさの問題から,まだ正解といえる方法は見出されていません。藤野くんは新たな着陸機構を開発することで解決したいと考えています。

実験1  パラシュートの形状決定

着陸に成功した火星探査機の多くがパラシュートを用いて着陸していますが,成功率は高くなく,今,世界中の研究者が挑戦しています。探査機の着陸の鍵となる減速方法を探るため,まずは,パラシュー トに着目し,地球上でもっとも滞空時間の長い形状を検証しました。

実験材料・器材

・ケント紙
・ タコ糸
・おもり

実験方法

・ ケント紙でパラシュートを作成し,自宅の2階(高さ466.5cmの位置)から落下する時間を計測して,最も滞空時間の長いパラシュートの形を探す

・ パラシュートは面積を400 cm2に統一した様々な多角形のものを作成した

・ リードは多角形の対角線をつくる2頂点を長さ26cmのタコ糸で結び,その中心に150 gの重りを吊るした

結果

・ 辺の比が5:3 の長方形が一番滞空時間の長いパラシュートであることが分かった

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実験2 パラシュートの安定性を探る

実験1では,辺の比が5:3の長方形が最も対空時間が長いことが分かりました。しかし,落下している様子をよく観察すると,パラシュートの傘が不安定に揺れていることに気が付きました。この揺れを解消するには傘に穴をあけて空気の逃げ道を作ることで安定して落下させることができるのではないかと仮説を立てて,穴の位置や大きさ,数が傘の揺れにどのように影響するのかを現在,実験しているところです。

実験材料・器材

・ケント紙
・タコ糸
・おもり
・コンパクトデジタルカメラ(スローモーション撮影の機能を使用)

実験方法

・ 傘にあける穴の直径を決める

・ 辺の比が5:3 の長方形の傘に,穴の数,位置をかえて,実験1と同じ方法で落下実験を行い,その様子をスローモーション撮影する

・ 動画を確認し,最も揺れの小さい条件を調べる

研究者からのアドバイス

火星探査に関する研究は世界中で進められています。近年の研究動向では,数学モデルをいかに作り,高精度なシミュレーションを実行するかがポイントになっています。火星の条件はインターネットで調べられるので,参考にしてシミュレーションに挑戦してみてはどうでしょうか。
壮大な目標に到達するためには,技術や知識,経験など足りないものがほとんどです。必要な技術はすべて自分たちで開発し,まだない道を自分で切り開いていかなくてはなりません。そのためには,やりたいことから自分のいるところまで線を引いて,実現できそうなところから地道に積み上げていく姿勢が不可欠です。一度で目標には到達できないから,何度も何度もあきらめずトライしましょう。今できることを一生懸命,信じてやることが大切です。

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今回の研究アドバイザー

国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構
シニアフェロー/
宇宙科学研究所 宇宙飛翔工学研究系 教授

淳一郎(かわぐち じゅんいちろう)さん

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